嗣　蔭　令

一、知行取先祖勲労或ハ殉死・討死、及豊前已前来者勿論、慶安二年已前之知行者旧故之家ニ付、子孫勤仕無闕遺ハ家督相続無相違可申付事

一、慶安三年已後四代相続之新知・加禄者、総て四分之三世々ニ減、四分之一可為世禄候、雖然四分之一之割高にて何百一二三四石ニ当り候者、余高を削り何百石と定め、何百六七八九十石之割高ニ当り候者、何百五十石と可定候、尤世禄千石已上ニ候者何千何百石と定め、五十石之割高に当り候共可削之事
　但、五百九十石已下、四百六十石已上ハ百五十石世禄、四百五十石已下、百十石已上ハ百石世禄、百石已下　世減なく世禄たるへし

一、右同、加禄高百九十石より百石迄ハ、割高之差別なく加禄之内五十石世禄に付へし、九十石已下之加禄ハ不残削り世禄に不可付之事

一、右同、新知・加禄子孫勤労無之家督申付候者茂碌々輩たるにおいてハ

五千石已上者　　　　　　　　　　六百石

四千九百九十石已下四千石已上ハ　五百石

三千九百九十石已下三千石已上ハ　四百石

二千九百九十石已下二千石已上ハ　三百石

千九百九十石已下千石已上ハ　　　二百石

九百九十石已下四百石已上ハ　　　百石

三百九十石已下百五十石已上ハ　　五十石

　　　百四十石已下百十石已上、各十石已上之余高削之

　　　右之通世々ニ減、定め置知行高ニ至り候已後世禄たるへき事

一、慶安三年已後新知・加禄遣候者、其身は勿論、三代目迄ハ世禄之数を不定、子孫在勤中之様子ニ応し、臨時ニ可申付候、四代相続已後、前条もことくたるへき事

一、慶安二年已前致返知、同三年已後右返知高新知或ハ加禄申付候分ハ、可為旧知同前事

　　　但、継嗣無之其家断絶、同三年已後其名跡ニ新知遣候分ハ、三分一世減、三分二　　　　　　　　　　　　　

　　　可為世禄候候、黜事ニて令削禄、同三年已後又々加禄申付、或奪禄之後、新知遣　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　　　候分ハ、可為前条之世減同断事

一、慶安二年已前武功ニよつて遣候知行断絶、其子弟召出候節遣候知行或ハ扶持方等、慶安三年已後たりとも旧故ニ准し世減すへからす、右断絶之家三代目ニ至り遣候知行或ハ先知以外之高ハ、武功之家筋たりとも可為新禄事

一、子孫勤労或ハ家督申付候者、抜群之材能於有之ハ其節々世減相延事

一、新知・加禄たりとも改め世禄に申付候家者、慶安二年已前之知行可為同前事

一、家老・中老直ニ隠居申付候者、二代目ハ無世減相続可申付事

一、新知・加禄遣候者、初代ハ年数を不論一代と定め、二代目已後無役ハ二十七年を一代とし、寡用之役付ハ十八年已上を一代とし、多用之役付ハ九年已上を一代とし、日勤ハ三年已上を一代とし、其一代／＼在勤之始終右年数通計して四代を定むへし、若父祖之勤右年限不終して病死・隠居、其子孫之勤右年限ニ過候ハヽ、其余年を以父祖之不足を償へし、父祖之勤之余年を以子孫之不足を償へからさる事

　　　但、抜群之功労於有之ハ加為格別事

一、新知四代相続無之、已前百石之世禄ニも難申付者ハ四人扶持遣之、世々中小姓ニ可申付事

一、殉死・討死之子孫ハ、十五歳未満たりとも家督相続可申付事

一、世々中小姓之俸禄知行取ニ准し、慶安二年已前之知行之子孫ハ世減すへからす、慶安三年已後新知之子孫ハ世々ニ減し、知行高当前之俸四分一を以世禄ニ定むへし、初より中小姓ニ召出候者も右ニ准す、惣して世減五人扶持を限るへき事

 

　　　　　　　　一門

一、長岡内膳家ハ、世々一門之上席、嫡子ハ一門之次席

一、長岡図書家ハ、世々内膳家之次席事

一、連枝之輩別禄遣し、一門ニ申付候節ハ図書家之次席、一門家老之内ニ養子ニ遣候節者其家々之可為席次事

一、一門之二男・末子・弟ハ中着座之上席、別禄ニ而召出候節ハ上着座ニ申付候事

　　　　　　　一二三家老

一、一二三家老、世々次第之通之事

一、一家老之嫡子ハ、三家老次席之事

一、右同二男・末子・弟ハ中着座、一門二男・末子・弟之次席、別禄にて召出候節ハ中着座之上席之事

一、二三家老之嫡子ハ、家老之次席、別禄を以、家老職申付候節ハ家老上席之事

一、右同二男・末子・弟ハ中着座、一家老二男・末子・弟之次席、別禄にて召出候節ハ中着座、一家老二男・末子・弟之上席之こと

　　　　　　　家老

一、家老ハ三家老之次席之事

一、嫡子ハ組外同列上席之事

一、二男・末子・弟比着座、用人次席之事

一、二代目ハ組外、三代目ハ中着座、留守居大頭同列二代目之次席、四代目ハ比着座、留守居大頭同列三代目之次席、五代目大組之事

　

　　　　　　　中老

一、中老二三家老嫡子之次席之事

一、嫡子ハ中着座・上着座免職之次席之事

一、二男・末子・弟ハ大組付末席之事

一、二代目ハ上着座定席之次席、三代目ハ留守居番頭次席、四代目大組付上席之事

一、家老・中老ハ、老衰辞職之節直ニ隠居可申付事備頭・側大頭・留守居大頭并同列

一、二代目ハ中着座、三家老二男・末子・弟之次席、三代目ハ比着座上席、四代目大組付之事

一、嫡子ハ比着座、八代番頭上座之事

一、二男・末子・弟ハ、着座之嫡男之次席之事

一、勤労等ニ応し老衰辞職之節、直ニ隠居之儀、其節々臨時ニ可申付事

　　　　　　　組外并同列

一、二代目比着座、禄三千石以上同列定座之次席、三代目ハ大組付之事

一、嫡子比着座、家老二男・末子・弟之次席之事

一、二男・末子・弟ハ、着座之二男・末子・弟ニ准候事

　

　　　　　　　着座

一、松野主殿・木下平馬・津川平左衛門・三淵志津馬・楯岡源太左衛門・下津久馬・氏家甚左衛門・沼田熊五郎・小笠原備前家ハ右如次第上着座之上席、世々定席之事

一、上・中・比着座并同列二代目ハ、大組付上席之次席ニ上・中・比之次第之通席次申付候事

一、禄三千石已上之者ハ、世々比着座家老四代目之次席之事

一、三宅平太郎家ハ、世々禄三千石已上定座之次席之事

一、西山大衛・槙嶋半之允家ハ、世々比着座同列末席之事

一、比着座已上之嫡子ハ、留守居大組付次席、二男・末子・弟ハ、者頭嫡子之次席之事

一、比着座已上役付之者老衰辞職之節、格別之勤労有之者ハ直ニ隠居臨時ニ可申付事

一、擬作遣之、比着座已上ニ申付置候者之二代目ハ留守居番方、三代目ハ中小姓二申付候事

　　　但、擬作高三百石之二代目ハ二十人扶持、四百石・五百石之二代目ハ二十五人扶持、或ハ三十人扶持可遣之事

一、右同三百石之三代目之中小姓ハ十二人扶持、四百石・五百石之三代目ハ十五人扶持、或ハ二十人扶持可遣之事右之各養子禁之、実子於無之ハ家類不飢様ニ臨時ニ可申付事

　　　　付、実子雖有之、右家累可令養育程之本家有之者ハ召出間敷事

一、比着座已上遺蹟幼若之者ハ、知行当前之見合にて扶持方遣之、留守居大頭組支配ニ申付置、及十五歳候上家督申付、留守居大頭組ニ召加、及十七歳備組ニ可召加事

　　　但、抜群壮健之者ハ可為格別事

　　　　　　　江戸留守居已下、佐敷番已上

一、禄二千石已上ハ、世々大組付ニ申付、大組末席ニ申付候家之上席之事

一、世々大組付申付候家ハ、上着座二代目之上席、或ハ大組末席ニ申付候家も有之候事

一、江戸留守居已下、連枝付役已上之嫡子ハ、阿蘇組之次席、二男・末子・弟ハ知行取嫡子之次席事

一、郡代已下佐敷番已上之嫡子ハ、物頭二男・末子・弟之上座、二男・末子・弟ハ中小姓嫡子之次席之事

一、江戸留守居已下、番方已上之二代目ハ、番方或ハ留守居番方ニ申付候事

一、知行取右筆已下、留守居番方已上之二代目ハ、留守居番方、格別壮健之者ハ番方ニ召加候事、臨時ニ申付候事

一、馬方之子、家業習熟知行遣候者ハ、馬方知行取之席ニ申付候事

一、八代城付・佐敷番二代目直ニ八代城付・佐敷番ニ申付候、抜群之者家督直ニ熊本ニ呼出候等之儀ハ可為格別事

一、擬作遣、江戸留守居以下ニ申付候者之二代目中小姓、三代目ハ歩使番列ニ申付候事

　　　　　　但、擬作高百石之二代目ハ五人扶持二十石、百五十石より二百五十石迄ハ七人扶持二十石、三百石者十五人扶持

　　　　　　一、右同、百石之三代目四人扶持十石、百五十石より二百五十石迄ハ四人扶持十五石、三百石は五人扶持十五石可遣之　　　　　　　　　事

　　　　　　一、右同、三百十石已上遣候子孫之儀ハ右ニ可類推事　右各養子禁之、実子於無之ハ家累不飢様ニ臨時ニ可申付事

　　　　付、実子雖有之、右家累可令養育程之本家有之者ハ呼出間敷事

一、知行取江戸留守居已下之者老衰辞職之節、五十年已上格別勤労有之者ハ直ニ隠居可申付事

　　　　　　但、軽輩より追々昇進、年労二よつて知行遣候者は本行之通ニハ申付間敷候、尤右之類たりとも抜群勤労有之者臨時ニ可　　　　　　申付事

一、江戸留守居已下遺蹟幼若之者ハ、知行当前之見合にて扶持方遣、留守居番頭支配申付置、及十五歳家督相続申付、留守居番方ニ加、及十七歳備方番方ニ可召加事

　　　　但、抜群壮健之者ハ可為格別事

一、鈴木平十郎・同才四郎・同富八郎・同彦右衛門・同源吾、右五家ハ世々知行取格留守居番頭支配ニ申付候事

　　　　　　　中小姓　

一、世々中小姓相続之上、直ニ組付中小姓二申付候事

　　　但、老病之者ハ留守居中小姓二申付候事

一、右同遺蹟幼若之内ハ合力米不遣、扶持方迄可遣置候、扶持方迄遣置候家、八人扶持已上ニ候ハヽ幼若之内半減、五六七人扶持之家も先四人扶持遣、留守居中小姓触頭支配ニ申付置、及十五歳候上相定候扶持、又ハ合力米遣之、及十七歳組付中小姓ニ可申付事

　　　但、抜群壮健之者ハ可為格別事

一、一代中小姓二代目、親之勤惣年数三十年中小姓ニ申付候、已後及十年候ハヽ其子之材能次第歩小姓組入、又ハ三人扶持遣、諸役人段ニ可召出候、中小姓ニ申付候已後之年数十年未満、惣年数三十年者之子ハ二人扶持遣、諸役人段ニ可召出候、二十九年已下十五年已上之勤ニ候ハヽ、米十五俵限ニ而召出間敷候、十四年已内之勤ニハ米茂遣間敷事

　　　　　但、親之勤抜群之功労、或ハ其子抜群之材能有之候ハヽ、年数之多寡を論せす臨時ニ可申付候

一、惣年数四十年已上勤労之者ハ、勤役之中たりとも其子之様子次第召出候儀可為同前

事

一、世々中小姓之嫡子ハ、知行取二男・末子・弟之上席之事

一、一代中小姓之子ハ目見不申付候条、不定席之事

　　　　　　　奉行所根取已下、独礼已上

一、勤労年数及三十年候者病死跡之子ハ、側足軽組入可申付候、三十四年已下二十一年已上之勤方ニ候ハヽ、米十俵遣限ニ可申付事

　　　　　但、側足軽闕跡無之節ハ二人扶持遣置、掃除頭支配申付候、幼若之者ハ右ニ准シ、成長之上組入可申付候、幼年相応之勤　　　　方於有之ハ可為格別候、親々似十年已内之勤ニ候ハヽ米も遣間敷候、抜群勤労或ハ其子抜群之材能有之者ハ、年数之多寡　　　　　を不論、臨時ニ可申付事

一、側足軽闕跡有之組入可申付者無之節ハ、勤労四十年已上之者之子、親々勤役之中たり共右闕跡ニ可召出事

　　　　　　　歩小姓并同列

一、勤労及四十年病死之跡右同断、三十九年已下二十六年已上之勤は、米七俵遣限りニ可申付事

　　　但、右同断、尤親々二十五年已内之勤ニ候ハヽ、米遣間敷事

一、歩小姓同列四十五年勤候者之子同前之事

 

　　　　　　　　諸役人段・小頭段

一、勤労及四十五年病死之跡之子、持筒頭・天守方支配頭預組之足軽ニ組入可申付候、四十四年已下三十一年已上之勤ニ候ハヽ、米五俵遣限り二申付候事

　　　　　但、抜群勤労之者、或ハ其子抜群之材能之者ハ臨時ニ可申付候、若足軽闕跡無之節ハ一人半扶持遣、掃除頭支配ニ申付置　　　　、闕跡次第組入可申付候、其外前条ニ准すへし、親々三十年已内之勤ニ候ハヽ、米も遣間敷事

一、五十年勤務者之子ハ前条ニ准し、預組之足軽ニ組入可申付事

　　　　　　　足軽段

一、勤労四十年病死跡之子ニハ米五俵遣限ニ申付候こと

　　　但、抜群勤労有之、或ハ其子抜群之材能有之者ハ可為格別候、四十五年已上勤候者子有之、相応之材能有之ハ臨時ニ可申付事

一、抜群之材能ニ而二男・末子・弟　別禄・職掌申付跡目ハ、其時ニ臨て家累不飢様ニ可申付候、尤其身之功業・勤労、或ハ其子抜群之材能有之ハ可為格別事

　　　但、右家累可令養育程之本家有之者ハ不及跡目事

一、世々中小姓已上之嫡子ハ、歩使番已下ニ呼出間敷候、歩使番已下ニ召出置候者之親ニ知行遣候ハヽ、扶持を指放し士席ニ可申付候、若可用材能之者ニ候ハヽ士席ニ直シ可召仕候、二男・末子・弟ハ歩段以下之勤たりとも不禁之事

一、歩使番已下ニ呼出置候者を、知行取并中小姓之同姓、又ハ血脈筋等之訳を以養子ニ願、如願申付候ハヽ扶持を放し士席ニ可申付候、若可用材能有之者ハ士席ニ直シ可召仕事

一、世々中小姓已上遺蹟、幼若付而扶持方遣候得共、開立山等ハ無相違可渡事

　　　但、一代中小姓之子孫たり共、追而中小姓ニ申付候節ハ可為同前事

一、乱心・自殺之遺蹟之相続、可准病死之遺跡事

　　　但、自殺之始末難通儀於有之ハ可為格別事

一、士席已上養子、病気等ニ而奉公難勤、其旨相願、同居難成旧離ニ相成候ハヽ右之趣前以双方より書付を以可相達事

一、世々中小姓已上、歩使番已下之子供を養子ニ願候儀禁之、同姓又ハ血脈筋之者、或ハ先祖訳有之者之子、或ハ抜群之者を願候節ハ臨時ニ格別ニ可申付事

一、血脈筋之者を閣、他人聟養子等に願候儀禁之、尤其訳立類ハ可為格別事

一、兄より弟養子ニ願、其養子ニ成候者、又候其弟を養子ニ仕度節ハ養子とハ不相願、名跡相続と可相願事

一、士席已上二男・末子・弟等、別禄遣置候者ハ嫡子たりとも他家ニ養子ニ遣候事勝手次第之事

一、嫡子を本家ニ養子ニ遣候已上後、実子出生ハ其通他家より致養子相続願禁之事

一、親之勤労ニよって其子足軽ニ可申付者之内、至而虚弱之者ハ組入不申付、一人半扶持或ハ二人扶持遣置之、相応之事ニ可召仕事

一、惣して年労・功業も無之、扶持不申付格之者たりとも、鰥寡孤独寄方無之者不飢様ニ格別ニ可申付事

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（了）